台風や洪水、大雨などの自然災害が迫っているときは、気象情報に注意して、早めの防災対策や避難行動をとることが重要です。
しかし、いざ家から避難所へ向かおうとしても、風雨対策の備えがなければ、足がすくんで行動に移せません。
近年、日本各地で記録的な大雨や台風による水害が相次ぎ、2024年8月下旬に上陸した台風第10号では、死者8名・負傷者128名・床上浸水を含む住宅被害が1280軒にのぼりました(内閣府発表)。
2025年8月には鹿児島・熊本・福岡など九州各地で線状降水帯が発生し、大雨特別警報が相次いで発表されました。気象庁の観測データによれば、1時間に80mm以上の「猛烈な雨」の発生頻度は長期的に増加傾向にあり、こうした激しい雨は今後も増えると見込まれています(気象庁「日本の気候変動2025」)。
毎年のように発生する台風や大雨に備えるために、役立つアイテムと活用法をご紹介します。
事前にハザードマップで危険な場所を把握しておこう
お住まいの市区町村が作成した「ハザードマップ」を確認していますか?
紙の冊子がお手元にない場合は、国土交通省が運営する「ハザードマップポータルサイト」で自宅周辺の情報をすぐに確認できます。
同サイトは2025年3月にリニューアルされ、住所や現在地を入力するだけで、その地点の洪水・土砂災害・高潮・内水氾濫などのリスクと、とるべき行動をテキストで表示できるようになりました。スマートフォンからも簡単に操作できるため、ぜひ家族全員で一度確認しておきましょう。
ハザードマップには主に次の情報が掲載されています。
- 洪水・内水氾濫・高潮・津波による浸水想定区域と浸水深
- 土砂災害警戒区域
- 地形分類(土地の成り立ちと自然災害リスクの把握)
- 指定緊急避難場所と避難経路
事前に被害範囲を把握しておくことで、迅速な避難と二次災害の回避につながります。
警戒レベルを理解して早めに行動しよう
2021年の法改正以降、避難情報は5段階の「警戒レベル」で発令されています。2026年5月下旬からは新たな防災気象情報の運用もはじまります(内閣府)。現行の警戒レベルの概要は次の通りです。
| 警戒レベル | 発令元 | 内容 | とるべき行動 |
|---|---|---|---|
| レベル1 | 気象庁 | 早期注意情報 | 最新の気象情報を確認 |
| レベル2 | 気象庁 | 大雨注意報・洪水注意報など | ハザードマップで避難経路を再確認 |
| レベル3 | 市区町村 | 高齢者等避難 | 高齢者・障がい者は避難開始。それ以外も準備 |
| レベル4 | 市区町村 | 避難指示 | 危険な場所から全員が速やかに避難 |
| レベル5 | 市区町村 | 緊急安全確保 | 直ちに命を守る行動(必ず発令されるとは限らない) |
警戒レベル4が発令されたら全員避難が原則です。
レベル5を待たずに行動してください。
また、2024年5月からは気象庁が「線状降水帯」による大雨の可能性を府県単位・半日前から呼びかけるようになっています。スマートフォンの気象アプリやNHKの防災アプリで通知を有効にしておくと、早めの行動につながります。
令和8年(2026年)5月下旬〜 防災気象情報が大きく変わります
これまでの防災気象情報は種類が40以上もあり、「情報が複雑でわかりにくい」という課題がありました。
警戒レベルと情報の対応が、対象災害ごとに異なる運用となっていてわかりにくいという声を受け、気象庁は2026年5月29日から新たな防災気象情報の運用を開始。(気象業務法・水防法改正に基づく)。
最大のポイントは、情報名称そのものにレベルの数字が付記されるようになったことです。
たとえば「大雨警報」は「レベル3大雨警報」、「高潮注意報」は「レベル2高潮注意報」という名称になりました。情報を見ただけで、警戒レベルと自分がとるべき行動が直感的にわかるようになっています。
あわせて、情報が「河川氾濫」「大雨」「土砂災害」「高潮」の4つに整理されました。
新たな防災気象情報の体系(2026年5月下旬〜)
| 警戒レベル | 情報の種類(例) | 住民の行動目安 |
|---|---|---|
| レベル2 | レベル2大雨注意報・レベル2高潮注意報 など | ハザードマップで避難経路を再確認 |
| レベル3 | レベル3大雨警報・レベル3土砂災害警報 など | 高齢者等は避難開始。それ以外も準備 |
| レベル4 | レベル4土砂災害危険警報・レベル4氾濫危険警報 など | 危険な場所から全員が速やかに避難 |
| レベル5 | レベル5氾濫特別警報・レベル5高潮特別警報 など | 直ちに命を守る行動(発令されない場合もある) |
主な変更点まとめ
「危険警報」の新設(レベル4相当)
これまでレベル3(警報)とレベル5(特別警報)の間に、レベル4相当の情報が明確ではありませんでした。
新たに「危険警報」が設けられ、「ここまでに全員避難を完了する」タイミングがわかりやすくなりました。
たとえば、これまでの「土砂災害警戒情報」は「レベル4土砂災害危険警報」に変わります。
「レベル5氾濫特別警報」の新設
大きな河川で氾濫が差し迫ったときに発表される「レベル5氾濫特別警報」が新たに運用開始。
ただし、レベル5の段階では安全に避難できないおそれがあります。レベル4の段階までに必ず避難することが大原則です。
「気象防災速報」「気象解説情報」の新設
これまで「気象情報」として発表されていた情報が2つに整理されました。
線状降水帯の発生など極端な現象を速報的に伝えるものが「気象防災速報」、気象状況を網羅的に解説するものが「気象解説情報」になりました。
なお、暴風・波浪・大雪など避難行動に直接結びつかない情報については、今回の変更対象外です。
雨・水害対策に役立つアイテム
避難する際に必要な避難バッグの中身(食料・水・ライトなど)については、本サイトの「防災・避難・救助」「非常食・調理」「衛生・救急・情報」の各記事をご確認ください。
ここでは、風雨の中で体を守るための装備品を中心にご紹介しますが、想像してみてください。
激しい雨の中を避難し、避難所に到着したとき、服がずぶ濡れのままでは体温を奪われ、二次的なリスクが生じます。傘は強風下では機能しません。防水・撥水仕様のレインウェアとシューズで全身をガードすることが基本です。
レインウェアの選び方
大雨の中での移動を想定すると、求められる性能は次の3つに絞られます。
1. 防水性能(耐水圧)
生地が水圧に耐える力を示す数値です。
JIS規格では「生地上に1cm四方の水柱を立てて、何mm(何m)の高さまで水を入れても生地を通過しないか」で表されます。
- 傘の平均耐水圧:約500mm
- 一般的なレインウェア:5,000〜10,000mm程度
- 登山・防災用途のおすすめ目安:20,000mm(20m)以上
2. 撥水性能(耐久撥水)
生地表面に撥水剤をコーティングし、水が水玉になって転がり落ちる性能です。
JIS規格で洗濯100回前後における撥水度によって耐久性が評価されます。耐久撥水性が高いほど、汚れや摩擦による性能低下を抑えられます。
3. 透湿性能(透湿度)
生地1㎡あたり24時間で何gの水分(汗・水蒸気)を外に逃がせるかを示します。
透湿度が高いほど蒸れにくく、長時間の移動でも快適です。防災用途では10,000g/㎡・24h以上を目安に選ぶと安心です。
おすすめ商品
・MIZUNO アウトドア ベルグテックEX ストームセイバーV レインスーツ A2JG4A01
ミズノ独自の防水透湿素材「ベルグテックEX」採用。耐水圧30,000mm以上(傘の約60倍)、100回洗濯後も撥水性を維持する耐久撥水加工、透湿性約16,000g/㎡・24h。雨返し&フラップ付き(ファスナー部・ポケット口)。フード内収納で約570g(Mサイズ)と軽量コンパクト。収納袋付属で避難バッグにそのまま入れられます。
レインブーツ・レインスパッツの選び方
避難時の基本はスニーカーなど歩きやすいシューズです。
足元の防水より、素早く動けることを最優先してください。ただし、状況が落ち着いた段階での移動や、増水の可能性がある場所では、レインブーツが有効です。
選び方のポイントは次の通りです。
- 履き口が絞れるタイプを必ず選ぶ(水の侵入防止)
- 天然ゴムまたはポリウレタン素材で防水性が高いもの
- つま先・かかと補強と滑り止めアウトソールつきのもの
- 折りたためてコンパクトに収納できるもの(避難バッグとの相性◎)
おすすめ商品
・FIELDOOR レインブーツ 収納袋付 男女兼用
材質:天然ゴム・ポリウレタン・ポリエステル。履き口が絞れる構造で雨や泥の侵入を防止。使用しないときは折りたたんでコンパクトに収納可能。ダメージを受けやすいつま先からかかとを補強し、グリップ力の高いアウトソールで濡れた路面や砂利道でも安全に歩けます。
レインスパッツ(スパッツ)は、スニーカーなどを履いている際に足元から膝にかけて装着し、雨の侵入を防ぎます。大雨時はパンツの内側に装着して防水性を高め、ぬかるみを歩く際の汚れ防止には外側に装着します。
おすすめ商品
・Azarxis ゲイター ロングゲイター(男女兼用)
600Dオックスフォード生地に撥水加工を施した、耐水圧6,000mmのロングゲイターです。膝下から足首までをカバーし、大雨時の移動中に生じる雨・泥はね・砂・小石の侵入をしっかりガードします。靴紐への金属フック+バックルによる2重固定でずり上がりを防止し、マジックテープで着脱も簡単です。防風性も高く、体温を奪う冷たい風から足元を守ります。コンパクトに折りたためるため、避難バッグへの収納にも適しています。
バッグカバーの選び方
風雨の中を移動すると、体だけでなく避難バッグも濡れてしまいます。
防水・撥水効果のあるバッグカバーがあれば、上からの雨と下からの水はねの両方をガード。日常の通勤・旅行でも活用できる汎用性の高いアイテムです。
選び方のポイントは次の通りです。
- 耐水圧が3,000mm以上のもの(雨の中での移動を想定)
- 自分のバッグのサイズに合ったもの(容量目安:35L対応など)
- ラバーバンドや面ファスナーで固定できるもの
- 夜間の視認性を高める反射素材つきのもの
- 軽量コンパクトに収納できるもの
おすすめ商品
・DOPPELGANGER ウォータープルーフバッグカバー
材質:ポリエステル(裏面コーティング)。耐水圧3,000mm。35Lまでのサイズに対応。カバー背面中央の面ファスナーとカバー縁のラバーバンドでしっかり固定。反射素材のロゴで夜間の視認性を向上。重量約140gで軽量。
まとめ
台風や豪雨では、事前の情報把握と早めの行動が命を守る最大の備えです。そのうえで、風雨の中での移動を想定した防水・撥水装備を事前に揃えておきましょう。
- ハザードマップで自宅周辺のリスクを確認する(国土交通省ポータルサイト)
- 警戒レベル4の避難指示が出たら速やかに全員避難する
- 線状降水帯の予測情報をスマートフォンの通知で受け取る設定にしておく
- レインウェア・レインブーツ・バッグカバーを避難バッグのそばに保管しておく
防水装備はサイズや収納性を確認のうえ、実際に着用してみることをおすすめします。
いざというときに「使い方がわからない」とならないよう、平時から一度試しておきましょう。