食品などに表示されている「賞味期限」と「消費期限」。
なんとなくわかっているつもりでも、非常食や保存食を備蓄する際に"実は間違っていた"となると意味がありません。
そこで、消費者庁・農林水産省・厚生労働省の公式資料を基に、最新の制度を整理してみました。
食品表示に関する法律
食品の期限表示を規定する主な法律は、2013年(平成25年)に制定・2015年(平成27年)に施行された「食品表示法」です。
それ以前はJAS法と食品衛生法に分かれていた食品表示のルールが、この食品表示法に一本化されました。現在は消費者庁が食品表示行政の主管となっています。
食品表示法第4条に基づく内閣府令「食品表示基準」では、加工食品に対して「消費期限」または「賞味期限」のいずれか一方の表示が義務付けられています。表示事項は「名称」「賞味期限または消費期限」「保存方法」「原材料名」「製造者名」など食品パッケージの枠内に一括して記載されるのが原則です。
なお、期限表示の歴史については、1995年(平成7年)に製造年月日表示から賞味期限・消費期限表示への切り替えが始まり、1997年(平成9年)に完全移行しています。また、2003年(平成15年)には「品質保持期限」と「賞味期限」という2通りあった呼び方が「賞味期限」に統一されました。製造年月日は任意で併記することが可能です。
賞味期限と消費期限のルール
「賞味期限」「消費期限」の期限表示に関しては、いくつかのルールがあります。
まず、それぞれの意味を理解しましょう。
賞味期限
おいしく食べることができる期限のこと。
食品表示基準(第2条第1項第7号)によると、定められた方法により保存した場合において、期待されるすべての品質の保持が十分に可能であると認められる期限を示す年月日。
期限を超えた場合であっても品質が保持されていることがあるため、すぐに食べられなくなるわけではない。
消費期限
期限を過ぎたら食べない方がよい期限のこと。
食品表示基準(第2条第1項第8号)によると、定められた方法により保存した場合において、腐敗・変敗その他の品質劣化に伴い安全性を欠くこととなるおそれがない期限を示す年月日。
弁当・調理パン・生菓子・食肉・生めんなど、品質が急速に劣化しやすい食品に表示される。
スナック菓子・缶詰・即席めんなど品質が比較的劣化しにくい食品には「賞味期限」、弁当や食肉など傷みやすい食品には「消費期限」が表示されます。
表示形式について
通常は「年月日」で表示しますが、賞味期限のうち製造日から3ヵ月を超えるものは「年月」のみで表示することが認められています(例:「2027/03」=3月末日まで)。
非常食備蓄で押さえておきたい「安全係数」
防災備蓄に特に関係する知識として「安全係数」を覚えておきましょう。
賞味期限は、各メーカーが保存試験(理化学試験・微生物試験・官能検査)を行って「品質が維持される限界期間」を確認した上で、その数値に0.7〜0.9程度の安全係数をかけて設定されています。
つまり、賞味期限は「ギリギリ食べられる期限」ではなく、余裕をもって設定された「安全な目安」です。適切な方法で保存していれば、賞味期限を多少過ぎてもすぐに食べられなくなるわけではありません。
ただし、これはあくまでも未開封かつ指定の保存方法を守った場合の話。開封後は期限に関係なく早めに食べることが鉄則です。
食品ロス削減と期限の見直し(最新動向)

消費者庁では現在、「食品期限表示の設定のためのガイドラインの見直し検討会」を進めており、2025年3月に第5回会議が開催されました。
食品ロスを減らす観点から、事業者が消費期限・賞味期限をなるべく長く設定できるよう、ガイドラインの改正案が検討されています。
防災備蓄の観点からもこの動向は重要です。
今後、保存食の賞味期限が延長される商品が増える可能性があり、備蓄品の更新サイクルの見直しにもつながるかもしれません。
まとめ
| 賞味期限 | 消費期限 | |
|---|---|---|
| 意味 | おいしく食べられる期限 | 安全に食べられる期限 |
| 対象食品 | 缶詰・スナック・即席めんなど | 弁当・生肉・生菓子など |
| 期限超過後 | すぐに食べられなくなるわけではない | 食べないことを推奨 |
| 表示形式 | 年月日(3ヵ月超は年月でも可) | 年月日 |
非常食・保存食を備蓄する際には、賞味期限が長い食品を選ぶことが基本です。
また、賞味期限は安全係数を加味した余裕のある設定であることを踏まえ、「期限=廃棄ライン」と決めつけず、目・鼻・味で状態を確認する習慣も大切です。
まずは今日、冷蔵庫の中の食品の期限表示を確かめてみましょう。
出典:消費者庁「食品表示基準」「食品期限表示の設定のためのガイドライン」/農林水産省・厚生労働省「食品の期限表示について」