警察庁の公式サイト「住まいる防犯110番」によると、空き巣などの侵入犯罪の侵入口は、一戸建て・共同住宅を問わず、「窓」と「表出入口(玄関)」からの侵入が全体の7割以上を占めています。
当たり前のように感じますが、では、みなさんは、窓や玄関、勝手口にきちんと防犯対策をしていますか?
空き巣は日常的な犯罪ですが、その対策は防災にも役立つことがあります。たとえば、防犯ガラスや防犯フィルムを貼った窓は、通常のガラスと比べて破壊されにくく、地震や水害・風害の際にも一定の効果が期待できます。
そこで、警察庁「住まいる防犯110番」のデータをもとに、2026年現在の最新情報を交えながら、自宅の防犯・防災対策と役立つアイテムをご紹介します。
侵入犯罪の現状(令和6年最新データ)
「防犯意識が普及しているから、もう大丈夫では?」と思っている方も多いかもしれません。しかし、数字を見ると決して楽観できない状況が続いています。
警察庁の統計によると、侵入窃盗の認知件数はピーク時(2002年・33万8294件)から大幅に減少してきましたが、2023年に増加へ転じ、2024年は4万3036件で着地しています。そのうち住宅を対象とした侵入窃盗は1万6962件、1日あたり約46件のペースで発生している計算になります。
手口の内訳
最新データで最も多い手口は「無締り(鍵のかけ忘れ)」で、全体の47.8%を占めています。
次いで「ガラス破り」が30.1%。かつて多かったピッキングやサムターン回しなどの「施錠開け」は、対策の普及により8.5%にまで減少しています。
つまり、「まずは施錠を徹底すること」が最も重要な対策です。そのうえで、ガラス破りやドア錠破りへの物理的な備えを追加することで、侵入者が「ここは時間がかかる」と判断して立ち去る効果が期待できます。
侵入に5分以上かかる家には、窃盗被疑者の約7割があきらめるというデータもあります(官民合同会議・CPマーク基準)。物理的な障壁を設けることが有効な理由はここにあります。
出入口(ドア・カギ)の対策
侵入手口を知る
玄関ドアを狙った主な手口には次の3つがあります。
ピッキングは、鍵穴に特殊な工具を差し込んで開錠する手口です。近年は耐ピッキング性能を持つ錠が普及し、認知件数は大幅に減少していますが、古いディスクシリンダー錠は今も狙われやすい状態です。
サムターン回しは、ドアスコープやドアポストなどの開口部から工具を差し込み、ドア内側のツマミ(サムターン)を回して開錠する手口です。2024年の認知件数は36件と減少していますが、対策が施されていない住宅では今も被害が起きています。
ドアのこじ破りは、ドアと壁の隙間にバールなどを差し込み、てこの原理で錠を破壊して侵入する手口です。2024年の一戸建てでの認知件数は215件に上っており、無視できない手口です。
①サムターン回し防止具
ドア内側のサムターンに取り付けるカバーで、外部からの工具でまわせないようにする対策グッズです。
賃貸住宅でも両面テープで貼り付けるだけで設置でき、費用を抑えながら対策できます。
スチール製など強度の高いものを選ぶと、工具で無理やり破壊されるリスクも低下します。
②ディンプルキー・CP認定錠への交換
従来のディスクシリンダー錠(フラットな鍵)は、ピッキングに弱い構造です。くぼみ(ディンプル)が多数刻まれたディンプルキーは解錠が難しく、防犯性が高いとされています。
さらに、「CPマーク」が付いた製品を選ぶと安心です。CPマーク(防犯建物部品)は、国土交通省・警察庁・経済産業省が連携して認定する制度で、「5分以上の侵入抵抗」が確認された建物部品に与えられます。
鍵の交換は、メーカーや防犯設備士に相談のうえ行うことをおすすめします。
③スマートロック(SESAME 5)
スマートフォンの専用アプリで施錠・開錠ができるスマートロックは、防犯対策としても注目されています。鍵穴にかざす合鍵が不要になるため、合鍵の複製・紛失によるリスクを大幅に低減できます。
現行の最新モデル「SESAME 5 Pro」は、ドア内側のサムターンに取り付けるだけで工事不要。オプションの「SESAME Touch」(別売)と組み合わせると、指紋認証・ICカード・暗証番号などでの解錠にも対応します。Wi-Fi アクセスポイントを別途追加すれば、外出先からの遠隔操作や、Google アシスタント・Amazon Alexa などのスマートホーム機器との連携も可能です。
なお、サムターンに後付けするタイプはドア本体の鍵穴が残るため、ピッキング対策としては補助錠との併用がより効果的です。
④ドアノブカバー(補助施錠)
ドアノブにカバーを被せ、南京錠で施錠することで2重カギにするタイプの防犯グッズです。カバーを外さないとドアノブを操作できない仕組みで、鍵を交換するより低コストで追加の防犯対策が施せます。賃貸住宅にも取り付けやすいのが利点です。
窓ガラスからの侵入対策
一戸建て住宅での侵入口で最も多いのは「窓」(53.5%)です。一般的な窓ガラスはわずか数十秒で破れるため、「割れにくくすること」と「2重のロックをかけること」が基本の対策となります。
①防犯フィルム(透明ガラス用)
ポリカーボネートなどの強化素材を使った防犯フィルムをガラスに貼ることで、打ち破りや焼き破りを難しくします。また、万が一ガラスが割れた場合にも飛散を防ぐ効果があり、地震や台風の際にも室内の被害軽減に役立ちます。防犯と防災の両面で使える実用的なアイテムです。
CPマーク認定を受けた防犯フィルムは、防犯性能の基準(5分以上の抵抗)をクリアしています。
②凹凸ガラス専用防犯フィルム
すりガラスや型板ガラスなど凹凸のある窓には、専用の防犯フィルムが必要です。平滑なガラス用フィルムでは密着性が確保できず、効果が低下します。トイレや浴室などに多い凹凸ガラスにも忘れずに対策を施しましょう。
③サッシ用補助錠
クレセント錠(サッシの一般的な鍵)だけでは、外からガラスを少し割ってクレセントを直接回せば侵入できてしまいます。サッシの溝にはめ込むタイプの補助錠を追加することで、ガラスを割っても窓が開きにくくなります。
複数の窓を持つ一般家庭では、コストパフォーマンスの高いセット品(4個入りなど)が便利です。
④ウインドウアラーム(振動・開放検知)
窓ガラスへの衝撃や、窓が開いたことを検知して大音量で警報するアラームです。本体を両面テープで貼るだけで設置でき、本体厚8mm程度のものなら窓の開閉も問題ありません。アラームが鳴ることで近隣への注意喚起になり、侵入者が立ち去る抑止効果も期待できます。
まとめ:「まず施錠」、その上に対策を重ねる
2024年の侵入手口の最多が「無締り(鍵のかけ忘れ)」であることが示すように、防犯の基本はまず「施錠を習慣化すること」です。ゴミ出しや短時間の外出でも、玄関・勝手口・窓の施錠を欠かさないようにしましょう。
その上で、ここで紹介したアイテムを組み合わせることで、侵入者に「ここは時間がかかる」と判断させることができます。
防犯対策に「完璧」はありませんが、賃貸・持ち家、一戸建て・マンションなど、それぞれの住環境に合った対策を積み重ねることが大切です。防犯への備えが、日常の安心と、災害時のガラス飛散防止にもつながります。ぜひ、今日から一つずつ見直してみてください。