大切な家族の一員であるペットのために、災害への備えを整えておきたいと考える飼い主の方は増えています。
とはいえ、「何日分の水やフードを用意すればよいか」「賞味期限切れが心配」「持ち出し袋に何を入れればよいか」など、悩みどころは尽きません。
この記事では、環境省のガイドラインをもとに、水とフードの備蓄量の目安、優先順位、無理なく続けられる備え方までをまとめて解説します。
なぜペット用の備蓄が必要か
災害が起きると、まず優先されるのは人的支援です。そのため、ペット用のフードや水などの物資は、人間用の支援物資よりも届くまでに時間がかかると考えておく必要があります。「そのうち救援物資が届くだろう」という考え方だけに頼るのはリスクがあり、自力で備えておくことが安心につながります。
環境省の「人とペットの災害対策ガイドライン<一般飼い主編>」では、ペットフードと水について「少なくとも5日分、できれば7日分以上」の備蓄が推奨されています。まずはこの日数を基準に、無理のない範囲で揃えていくとよいでしょう。
何をどのくらい揃えるか
水の量の目安
犬の場合、1日に必要な水分量は体重1kgあたり40〜60mlが目安とされています。たとえば体重5kgの犬であれば、1日あたり200〜300ml程度が目安になります。
猫の場合は、成猫で1日あたり150〜300ml程度が目安です。ドライフードを中心に食べている場合は必要な飲水量がやや多くなり、ウェットフードが中心の場合は食事から水分をとれるぶん、飲水量が少なくなる傾向があります。
これらはあくまで健康な成犬・成猫の目安です。持病があるペットや高齢のペット、授乳中のペットなどは必要な水分量が変わることもあるため、気になる場合はかかりつけの動物病院に確認しておくと安心です。
フードの量の目安
フードは、いつも食べ慣れているものを用意しておくのが基本です。
災害時のストレスで食欲が落ちやすいなか、見慣れないフードにまで切り替わると、さらに食べにくくなってしまうことがあります。水と同じく、少なくとも5日分、できれば7日分以上を目安に用意しておきましょう。
優先順位1|命や健康にかかわるもの
環境省のガイドラインでは、備蓄品を優先順位別に整理しています。もっとも優先度が高いのは、動物の健康や命にかかわるものです。
- 療法食・常用薬(持病がある場合は最優先)
- ペットフード・水(少なくとも5日分、できれば7日分以上)
- キャリーバッグやケージ
- 予備の首輪・リード
- ペットシーツ
- 排泄物の処理用具・トイレ用品
- 食器
とくに療法食や薬は、被災地や避難先ではすぐに手に入らないことが多いため、ほかの備蓄品よりも優先して多めに確保しておくと安心です。
優先順位2・3|情報と生活用品
次に優先されるのは、飼い主の連絡先や緊急連絡先、ペットの写真、ワクチン接種状況などの「情報」です。
はぐれてしまった場合の身元証明にもなるため、スマートフォンだけでなく紙でも控えておくと安心感が高まります。
さらに、タオル・ブラシ、ウェットタオルや清浄綿、ビニール袋、お気に入りのおもちゃ、洗濯ネット、ガムテープやマジックといった生活用品も揃えておくと、避難生活でのストレスをやわらげる助けになります。
小動物・多頭飼いの場合の考え方
鳥やハムスターなどの小動物を飼っている場合も、基本的な考え方は共通です。
健康を保つために欠かせないもの(普段食べているエサ・水・ケージ)を最優先にし、そのうえで保温グッズや巣材など、種類に応じたものを追加していきます。多頭飼いの場合は、頭数分の水・フード・トイレ用品が必要になるため、備蓄量も頭数に応じて増やしておきましょう。
優先順位・段階的な備え方
持ち出し用と自宅備蓄用をわける
人用・ペット用のすべてを「持ち出し袋」に詰め込もうとすると、重くなりすぎて避難のさまたげになりかねません。
持ち出し用は1〜3日分程度の必要最小限にとどめ、自宅での備蓄は5〜7日分以上を目安にわけて考えると、無理のない備えになります。
ローリングストックの取り入れ方
農林水産省は、日常的に食品を消費しながら買い足していく「ローリングストック」という方法を推奨しています。
ペット用のフードや水にもこの考え方を取り入れると、賞味期限切れの防止に役立ちます。普段使っているフードを少し多めに買い置きし、古いものから使って減った分を買い足す、という流れを習慣にしてしまうのがポイントです。特別な非常食を別に用意するのではなく、いつものフードを備蓄も兼ねて多めにストックする、という感覚で取り組むと続けやすくなります。
療法食・処方食がある場合
持病があり療法食や処方食が必要なペットの場合は、一般的なフード以上に優先して確保しておきましょう。
療法食は取り扱いが限られる製品も多く、被災後に同じものをすぐに入手できるとはかぎりません。かかりつけの動物病院に相談し、いざというときの入手方法もあわせて確認しておくと安心です。
注意点・よくある見落とし
人間用のミネラルウォーターをそのまま与えない
備蓄している人間用のミネラルウォーターを、そのままペットに与えるのは避けたほうが無難です。
硬度が高いミネラルウォーターにはミネラル分が多く含まれており、継続的に与えると尿路結石などのリスクにつながることがあります。
ペット用には、硬度の低い「軟水」を選んで別に用意しておくと安心です。
賞味期限の管理と保存場所
フードや水は、直射日光や高温多湿を避けた場所で保管するのが基本です。
ローリングストックを習慣にしていれば、賞味期限切れを防ぎやすくなります。
あわせて、いつ・何を買い足したかがひと目でわかるよう、購入日や期限をメモしておくと管理がらくになります。
環境が変わると食べない・飲まないことがある
避難所や在宅避難など、普段とちがう環境ではストレスから食欲が落ちてしまうペットも少なくありません。
対策として、普段から好んで食べているおやつやトッピングを少量ストックしておき、いざというときに食欲を後押しできるようにしておきましょう。
匂いや排泄物まわりの衛生対策
災害時は水が制限され、いつもどおりの掃除がむずかしくなることも考えられます。
簡易トイレやペットシーツ、消臭スプレー、ポリ袋などの衛生用品も、フードや水と合わせて備蓄しておくと、避難生活での負担を減らせます。
よくある質問
Q. ペット用の水や非常食は具体的に何日分用意すればよいですか?
環境省のガイドラインでは、少なくとも5日分、できれば7日分以上を目安に備蓄することが推奨されています。まずはこの日数を目標に、無理のない範囲でそろえていきましょう。
Q. 人間用のミネラルウォーターを与えても問題ありませんか?
硬度が高いミネラルウォーターは、継続して与えると尿路結石などのリスクにつながることがあります。ペットには硬度の低い軟水を選んで別に用意しておくと安心です。
Q. 鳥やハムスターなど小動物の場合はどう備蓄すればよいですか?
基本的な考え方は犬・猫と同じで、普段食べているエサと水を最優先に備蓄します。そのうえで、保温グッズや巣材など、種類に応じたものを追加しておくと安心です。
Q. 非常用持ち出し袋と自宅備蓄はどうちがいますか?
持ち出し袋はすぐに避難する際に持ち出す1〜3日分程度の最小限の備え、自宅備蓄は在宅避難や長引く避難生活を想定した5〜7日分以上の備えです。両方をわけて考えておくと、荷物が重くなりすぎるのを防げます。
Q. 賞味期限が近づいたフードはどう扱えばよいですか?
賞味期限はパッケージの表示に従うのが基本です。ローリングストックの考え方で、期限が近いものから日常的に消費し、減った分を買い足していけば、期限切れによる無駄を防ぎやすくなります。
まとめ
ペットのための災害備蓄は、「何日分」「何を」「どう管理するか」の3つを押さえておくと、無理なく整えられます。
環境省のガイドラインが示す5日分、できれば7日分以上という日数を目安に、療法食や水などいのちにかかわるものから優先して揃え、ローリングストックで日常に取り入れておけば、いざというときも落ち着いて過ごせるはずです。できるところから少しずつ、備えを整えておきましょう。
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